肉離れの原因と処置法(ハムストリング編)
肉離れとは

肉離れとは、ジャンプやダッシュなどの動作時に、「筋肉が収縮する力」と「引き伸ばされる力」が働き、逆方向へのストレスが生じ筋肉や筋膜に過剰なストレスがかかり損傷してしまうものです。
日常生活でも負傷してしまう事もあり、坂道を上がる時や、階段を降りる際に痛めてしまう事もあります。
肉離れは損傷の程度により、3段階に分けられます。
1度 筋繊維の微細損傷
2度 筋繊維の部分断裂
3度 筋繊維の完全断裂
3度損傷では、手術が必要になる事もあります。
今回は、整骨院によく来院される1度、2度のハムストリングスの肉離れについて書かせて頂きます。
症状
- 歩いたり、足をつくと痛む(歩行痛)
- もも裏をストレッチすると痛む(ストレッチ痛)
- 膝を曲げたり、股関節から脚を後ろに伸ばす(運動時痛)
- 休んでいる時にズキズキ痛む(安静痛)
原因
筋肉に大きな負荷がかかった時に損傷、断裂をしますが、下記の様な条件が揃うと痛めやすくなります。
- 筋肉、関節の硬さ
- 筋力、筋持久力の低下
- 不良姿勢・筋バランスの乱れ
- 疲労の蓄積
- ウォーミングアップ不足・ストレッチ不足
- リハビリ不足(再受傷をくりかえす場合)
初期対応
初期対応としては、POLICE処置を行います。
POLICE処置とは、各言葉の頭の文字をとって、作った言葉です。
Protection(保護)→サポーターやテーピング、シーネなどを使い患部を保護する事で患部の負担を減らします。
Optimal Loading(最適な負荷)→患部の状態に応じて最適な負荷をかけ組織修復を促していきます。
Ice(冷却)→アイシングを行い、疼痛の緩和、血流を抑えて内出血・腫脹の軽減を行います。
Compression(圧迫)→パッドや弾性包袋を巻き、腫脹や内出血を抑えます。
Elevation(挙上)→脚を高く挙げる事により浮腫を抑えます。
POLICE処置は全ての外傷処置の基本で、受傷後すぐにこの処置を行えるかにより治療期間の長期化を防いだり、クセにならずにスポーツや日常生活に復帰できます。
当院の施術
当院での対応・施術を書かせて頂きます。
まず問診で、痛めた日、どのようにして痛めたか、以前に同じような怪我をしたことがあるか、などを聞きます。
またスポーツをしている方であれば、スポーツの頻度やチーム状況、試合がいつあるか…などを確認します。
一般の方であれば、お仕事の内容や仕事を休む事ができるかなどを聞き、その方の生活環境に合わせた施術プランを考えていきます。
エコー
超音波を用いて筋損傷の状態を確認します。筋損傷の程度や範囲、腫脹や血腫の有無を確認します。
損傷部位の深さや回復具合も確認できるのでより丁寧な施術が可能になります。
超音波・Hi‐voltage
超音波は血流促進効果や組織の回復促進効果があり、ケガをしてからの時期に応じて出力を変えて行います。
当院で使っているフィジオソノ(超音波)は3MHz(深部到達度1cm)と1MHz(深部到達度約3~5cm)と出力を変える事ができるので、エコーで患部の深さ、状態を確認して適切な深さやエネルギーで、効率良く施術を行います。
フィジオアクティブ(Hi-voltage)は鎮痛効果と腫れの軽減に関して効果が高く、当院ではフィジオソノとフィジオアクティブを接続し同時に流すコンビネーション施術を行います。
鍼
鍼は血流促進効果や組織の回復を高める効果がはあります。
鍼を打つ事により異物が侵入してきたと体が反応し、打った箇所に免疫細胞が集まり修復を早めます。
下の写真はエコーで肉離れした箇所の深さや大きさを確認し、その範囲を中心に鍼を打っています。
また臀部やふくらはぎ、腰、背中に鍼を打ち、繋がっている筋膜ラインに打ち患部への負担を減らす事をする時もあります。
グラストンテクニック
グラストンはステンレス製の施術器で筋肉や腱、靭帯などをこすり、組織の癒着をはがしたり、柔軟性を高めていきます。
肉離れなどの組織損傷に行っても効果は高く、繊維方向へこすることにより筋線維の配列を整え、再受傷しにくい組織を作ることができます。
運動療法
痛みの程度を見て早期から運動療法を行います。
痛みが出ない程度の低負荷の運動は正常な組織の回復に近づけていきます。
コンセントリック(短縮性)収縮の筋力エクササイズと痛みを感じない程度のストレッチから始めていきます。
日にちの経過と痛みの変化を確認しながら、ストレッチの角度を上げたり、筋肉への負荷を上げたり、エキセントリック(遠心性)収縮の筋力エクササイズに変えたりと患者様の生活様式や復帰したいスポーツに変えていきます。
これは運動療法の一例で、その方の痛みや生活様式、行っているスポーツに応じて運動療法は変えていきます。
基本はこのような流れで施術しますが、クセになっている方や、肉離れをする前に不調だった部位が原因となり痛めてしまう方もいます。
問診や施術をしながら話をよく聞きその方に1番良い施術を提供できるようにさせて頂きます。





